栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続に関するやや細かい知識を書いていきます。
今回は「古い権利証や売買契約書の取り扱い」に関してです。
「相続登記は済ませて、新しい権利証(登記識別情報)ができあがったが、
父親名義の権利証や父親がその不動産を購入した際の売買契約書は
どうしたらよいか?」
私たちがよく依頼者から受ける質問です。
そのようなご質問に対しては
「できれば全部保管しておいた方が良いとは思いますが、
最低でも古い売買契約書だけは保管しておいて下さい」
とお答えいたします。
その不動産を売却した際の譲渡所得税を申告納付する際に
非常に重要な書類となります。
譲渡所得とは、「売ったときの値段」から
「もともと買ったときの値段」等を差し引いた金額のことです。
要するに「もうけ」のことです。
もともと買ったときの値段が高ければ高いほど、
その分だけ差し引く分が多くなって、
課税される譲渡所得税を圧縮できる仕組みです。
古い売買契約書が残っていれば、
もともと買ったときの値段を証明できますので、
売却代金からその値段を差し引くことができます。
残っていない場合、もともと買ったときの値段を証明できる証拠が
ないですので、もともとはいくらで買ったと主張しても認められません。
このときには、売却代金の5%だけしか差し引きできません。
この差は大きいです。
お亡くなりになった方が遺した書類があなたを助けてくれるかもしれません。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
2018.05.10記
これはすごく大事なことだと思います。
名義が換わったのだからすべて処分して構わないなんて言ってしまったら
責任問題ですね。
バブル時代に土地を購入した方の相続の場合には特に注意です。
土地を相続した相続人がその土地を売却した場合、
譲渡所得税がかかる可能性はほとんどないにもかかわらず
売買契約書がないばかりに譲渡所得税を払う羽目になります。
司法書士としては気楽に構えられない注意点です。