栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続に関するやや細かい知識を書いていきます。
「遺産分割の方法を争う方法」に関してです。
裁判で遺産分割の効力を争う場合、どのような訴えを提起しますか?
遺産の範囲など前提問題を解決するには、
遺産確認訴訟や所有権確認訴訟を提起します。
遺産分割協議がそもそも存在していない場合や
遺産分割協議自体に瑕疵(欠陥・ミス)がある場合には、
遺産分割不存在確認訴訟、遺産分割協議確認無効確認訴訟を提起します。
1.遺産確認訴訟等
家庭裁判所で遺産分割の審判が下された場合でも、
遺産の範囲等の前提事項を争いたい場合には、
別途民事訴訟を提起して、前提問題の確定を求めることができます。
(最高裁判決 昭和41年3月2日)
問題となっている財産が
被相続人の遺産であることの確認を求める場合は遺産確認訴訟、
遺産ではなく第三者の財産であることの確認を求める場合
その第三者が所有権確認訴訟を提起することになります。
2.遺産分割不存在確認、無効確認訴訟
遺産分割協議がされていないのに、
遺産分割協議書が偽造されているような場合には、
遺産分割協議不存在確認訴訟を提起することになります。
遺産分割協議に
無効原因(当事者の逸脱、保佐人や補助人の同意がない場合)が
ある場合には、遺産分割協議無効確認訴訟を提起することになります。
3.その他
遺産分割協議に
取り消し事由(詐欺や脅迫、保佐人や補助人の同意がない場合)が
ある場合には、取り消しの意思表示を行った上で、
遺産分割無効確認訴訟を提起します。
担保責任による解除が認められる場合にも
解除の意思表示を行った上で、遺産分割協議無効訴訟を提起します。
4.必要的共同訴訟
遺産分割の効力を争う訴えは
相続人全員のために画一的に決定される必要があるため、
相続人(代襲相続人や包括受遺者を含む)全員の相手にする必要が
あります。(必要的共同訴訟)
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。