栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
今回は
「財産を相続させる(遺贈する)相手が
遺言者より先に死亡してしまった場合」です。
人の命は分からないものです。
遺言をした人よりも先に
財産を相続させたい(遺贈したい)相手の人が
亡くなってしまうということもあり得ます。
まず「遺贈」に関してですが、
原則として遺贈は効力を発生しません。
「特別な定め」をしていない限り、
遺贈の相手の相続人がその財産の遺贈を受けることにはなりません。
※「特別な定め」とは
遺贈の相手方が遺言者より先に死亡した場合には
その相続人のうちの特定の誰かに遺贈する旨の定めを
遺言に盛り込んでおけば、それに従います。
次に「相続」の場合、
たとえば、
老舗の当主が店を後継者の長男に相続させるという
遺言をしていた場合、
その真意は、長男に個人的な人間関係に基づいて財産を与えるよりも
代々続けた商売を守り続けていって欲しいということだと思います。
つまり仮に長男が自分より先に亡くなってしまった場合
「長男の長男」に財産を承継して欲しいと考えていると推測できます。
果たして遺言した人の真意を汲み取って、
長男が先に死亡した場合、当然にその長男に相続されるのでしょうか?
答えはノーです。
平成23年に最高裁が以下のような判断をしています。
「特定の相続人に特定の財産を相続させるような遺言をしていた場合、
遺言をした人が亡くなったときに、
その遺言によって遺産を相続するはずだった人が
既に死亡していた場合、
特段の事情がない限り、その遺言は効力を生じない」
よって、当然に長男の長男が相続するわけではないということです。
でもご心配なく、「長男の長男」に相続させる方法はあります。
実務上は自分が財産を相続させたい(遺贈したい)相手が
自分より先に死亡してしまった場合、
その人の配偶者や子にその分の財産を代わりに与えることを
遺言で指定していくことができます。
これを補充遺言といいます。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
2018.04.25記
補充遺言をするのはむしろ常識です。
公正証書遺言でであれば、
公証人の方から補充遺言の有無について確認が入ります。
自筆証書遺言の場合、漏れてしまうことが多いかも知れません。