栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
本日は遺産分割協議についてご説明します。 このテーマに関しては専門家としてかなり「力」が入ります。
遺産分割協議について
分割協議は相続人全員で行う
遺言による指定がない場合は代襲相続人や代理人も含めて相続人全員による話し合いで遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は一人でも不参加の相続人がいれば成立しません。
協議の方法としては全員が一堂に会して話し合いをしても構いませんし、あらかじめ書類による分割案を作成し、各相続人に郵便やファックスなどを使って全員の同意をとる方法もあります。
なお、相続放棄をした人、相続の廃除をされている人は協議には加われません。
未成年者には代理人を立てる
相続人に未成年者がいる場合には代理人を立てます。
代理人には普通は親権者がなりますが、親権者もまた相続人の一人であった場合には、遺産の分割に関して、親権者と未成年の相続人との間で利益が相反することになりますので、親権者は未成年の相続人について代理権を行使して遺産分割協議をすることはできません。
従ってこのような場合には、この未成年の相続人ついて、家庭裁判所に「特別代理人」の選任申立をして、この「特別代理人」が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加して、その他の相続人と遺産分割協議を行います。
申立は親権者または他の代理人が行います。
特別代理人の選任申立は、すみやかに子の住所地の家庭裁判所に対して申立を行います。
必要書類は、①特別代理人選任申立書、②申立人及び未成年者の戸籍謄本、③特別代理人候補者の戸籍謄本及び住民票、④遺産分割協議書案。
費用は、子1人につき収入印紙800円、連絡用の郵便切手代です。
相続人に行方不明の人がいるとき
家庭裁判所に「不在者(行方不明者)の財産管理人」の選任申立をします。
選任された財産管理人が行方不明の相続人の代理人として、家庭裁判所の許可を得た上で、遺産分割協議に参加し、他の相続人と共に遺産分割協議を行います。
申立は、他の相続人が利害関係人として、行方不明の相続人の判明している最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。
必要書類は、①不在者財産管理人選任申立書1通、②.申立人、不在者の戸籍謄本各1通、③.財産管理人候補者の戸籍謄本、住民票各1通、④.不在の事実を証する資料(不在者の戸籍附票謄本など)、⑤.利害関係を証する資料、⑥.財産目録、⑦不動産登記簿謄本。
費用は、収入印紙800円,連絡用の郵便切手代です。
遺産分割の方法
現物分割
「土地と建物は妻に、預貯金は長男に」のように個々の相続財産の現物を各相続人に割り振る方法。
換価分割
遺産が家や土地のような不動産で、各相続人に切り分けるわけにはいかない場合や各相続人に現物で割り振れるほど相続財産がない場合に遺産を売却してその代金を分割する方法。
代償分割
遺産の殆どが不動産や事業資産、農地などのとき、後継者となる相続人の1人が単独で相続し、単独で相続した相続人が自分の財産をもって他の相続人の相続分相当額を弁償する遺産分割方法。
複数の相続人の共有名義にするような遺産分割はおすすめしません。
良好な関係が永遠に維持される保証があるならそれでも良いですが、こじれてしまったときにはその共有財産は処分するにできない「塩漬け資産」になってしまうおそれがあります。
なぜなら財産処分には共有者全員の合意が必要だからです。
どうしても相続人間の遺産分割の協議がまとまらないとき
遺産分割協議は相続人の1人でも同意しない場合には成立しません。
遺産分割協議がまとまらないときには家庭裁判所に「遺産分割の調停」または「遺産分割の審判」の申立を行うことができます。
「調停分割」は非公開の場で家事審判官(裁判官)と調停委員の立会のもと相続人が集まって話し合いを行い、譲歩と合意を目指します。
「審判分割」は家庭裁判所の審判にゆだねられ、裁判所の調査のもとに家事審判官により分割が命じられます。
まずは遺産分割協議が不調のときにはまず「調停分割」を申し立てて、調停が不調のときに「審判分割」を申し立てます。
遺産分割「協議」は相続における「最大の関門」です。
「協議」でうまくまとまれば最高です。
協議がまとまらないとその後の兄弟姉妹間等のお付き合い、ひいては相続人の人生そのものにもかなり影響してきます。
遺産分割協議の決裂が親族との「縁切り」につながることも少なくありません。
このような不幸な事態を避ける方法として、「生前相続対策」があるのですが、なかなかその重要性が理解されないようです。
やはり人間は目先の利益が一番大事なのでしょうか・・
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
2018.06.13記
特にお子さんのいないご夫婦の方には公正証書遺言の作成を強くお勧めします。配偶者に全財産を相続させるという内容であることはもちろんですが、仮に配偶者が自分より先に亡くなってしまった場合についても遺言の中で決めておく必要があります。例えば、その場合には甥っ子や姪っ子に全財産を相続させるという内容です。遺言があればこんな苦労はしなかったのにというケースが多々あります。
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