栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
今回は「遺言と遺留分」についてです。
意外に身近なテーマだと思います。
「遺留分(いりゅうぶん)」、一見難しげな法律用語ですが、
昨今皆さん権利意識が高いせいかこの言葉をいきなり用いても、
特に言葉の意味を問われることなくその後の話に入れます。
被相続人が「全財産を愛人に遺贈する」という遺言を遺した場合を
想定しましょう。
テレビドラマの世界では良くある話ですが、
現実にはほとんどないケースです。
ですが、私は何年か前ですが、実際に経験したことがあります。
もちろん泥沼の争いになり、知り合いの弁護士に依頼をしました。
その遺言が有効なものであることを前提に
(たとえば、被相続人が元気な間に遺した公正証書遺言であった場合)、
相続人は愛人に対して遺留分減殺請求を行うことができます。
愛人に対して、遺留分、つまり相続人に最低確保されるべき遺産を
返してくれるよう請求できるのです。
遺留分の割合は、相続人が配偶者や子である場合には遺産全体の2分の1。
父母、祖父母のみが相続人の場合には遺産全体の3分の1。
ただし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分はありません。
遺留分減殺請求の対象となる遺産は、
被相続人の死亡時の財産に限られません。
相続開始前1年間に生前贈与された財産及び
相続人を害することを知りながら行ったすべての生前贈与(
生前贈与の時期を問わず)も遺留分減殺請求の対象になります。
遺留分減殺請求権は請求できる期間が決まっています。
遺留分を侵害するような生前贈与や遺贈があったことを
知ったときから1年以内もしくは被相続人が死亡してから10年以内です。
実際に多く見受けられるのは、
被相続人が1人の相続人だけに全財産を相続させる遺言を遺していた場合に、他の相続人がその相続人に遺留分減殺請求権を行使する場合です。
遺留分は相続人に当然認められる権利なので、
実際に請求された場合、
原則としてその請求に応じなくてはいけません。
非常に強い権利と言えます。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
2018.12.07記
遺留分はものすごく強力な権利です。
請求すれば原則認められます。
しかし、遺留分の算定基礎は全財産ではありません。
相続財産の2分の1(3分の1)です。
遺留分とか、法定相続分とかは確かに大事なことですが・・
消して尋常とは言えない遺言、つまり愛人や相続人のうちの1人に
全財産相続させる内容を書いた(書いてしまった)
遺言者の気持ちはどうだったのかぁと時々想像してしまいます。
手続き等を急いで大和英にしたい気持ちも尊いですが、
遺言作成当時の遺言者ご自身の(不安な)お気持ちを想像することも
ものすごく大事なことだと思います。
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