栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続が開始した場合、相続財産は法定相続財産の共有財産になります。
したがって法定相続人の一人が勝手に処分したりすることはできません。
その状態を解くのが、「遺産分割協議」です。
法定相続人全員で、法定相続人の共有財産である相続財産の帰属、
つまり誰がそれを勝手に処分できるのかを決める話し合いを行います。
本日は遺産分割協議が成立前の相続財産の取り扱いを説明します。
遺産分割までの財産の取扱
相続人の共有となっている財産は、
相続人による遺産分割協議が終わって、
その相続財産がどの相続人に帰属するかが決まるまで、
原則として処分することができません。
財産の種類 |
取扱い |
土地・建物 |
相続人の共有 |
借地権 |
相続人の共有 |
預貯金・現金 |
相続人全員の合意で使用 |
有価証券 |
相続人の共有 |
退職手当金 |
受給権ある人のもの |
生命保険金 |
受給権ある人のもの |
家財道具一式 |
相続人の共有 |
貴金属・書画・骨董 |
相続人の共有 |
ゴルフ会員権 |
相続人の共有 |
自動車 |
相続人の共有 |
未払いの税金 |
相続人全員の合意で納付 |
借入金 |
相続人全員の合意で返済 |
被相続人名義の預貯金を引き出す方法は?
本来、被相続人の死亡によって
凍結された預貯金口座からの引き出しは、
被相続人の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書を
提出して手続きしなければなりません。
つまり、遺産分割が終わらないと引き出せないのです。
とは言え、医療費や葬儀費用の支払いのために
まとまった現金が必要なこともあります。
金融機関によってはそういった支払いのために
特別に引き出し応じてくれる場合があります。
ただし、引き出す際には書類や保証人が必要となり、
引き出す限度額も設けられています。
金融機関によって必要な手続には違いがありますが、
法定相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、
法定相続人の範囲が分かる故人の戸籍(除籍)謄本、
葬儀や医療費の請求書や見積書などの提出を求められます。
手続に出向く人(相続人の代表者)は
預貯金通帳、キャッシュカード、届出印、代表者の実印などを持参します。
ただし、この点は今回の民法改正で
遺産分割協議が成立する前であっても金融機関からの預貯金引出しを
可能とする「預貯金の仮払い制度」が創設されました。
遺産分割協議が成立する前であっても
各相続人が単独で、金融機関へ金額を払戻し請求ができます。
具体的には、
「相続開始時の預貯金の額 × 1/3 × 仮払いを求める相続人の法定相続分」
の計算式で求められる金額です。
ただし、1金融機関あたり150万円は上限額です。