栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続に関するやや細かい知識を書いていきます。
「生命保険の受領と相続放棄」に関してです。
生命保険金を受領した相続人は相続放棄をすることができますか?
設例
Aさんは、生前、妻Bを受取人とする生命保険契約を締結しました。
ところがAさんは多額の借金を作って死んでしまいました。
Bさんは生命保険金を受け取りたいと考えています。
しかしAさんの作った借金を返す余裕はありません。
このケースでBさんは生命保険金を受け取った上で
相続放棄をすることが可能でしょうか?
相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、
その相続人は単純承認したものとみなされてしまいまい、
相続放棄をすることができなくなってしまいます。
(民法921条1号)
生命保険金の受領がそれに当たるかどうかですが、
いくつかのケースに分けて考える必要があります。
1.生命保険契約により保険金の受取人が
特定の相続人に指定されているケース
このケースでは保険金の受取人として指定された相続人は
生命保険契約の効果によって自己固有の権利として
生命保険金請求権を取得します。
この生命保険金請求権は相続財産ではありません。
したがって、生命保険金の受領は相続財産の処分にはあたりません。
このケースにおいてはBさんは生命保険金を受領した後、
相続放棄をすることができます。
2.生命保険契約により、保険金の受取人が
単に「法定相続人」となっているケース
(特定の相続人を保険金受取人にしてしていない場合)
このケースでは各相続人はそれぞれの法定相続分に応じて、
生命保険契約の効果によって自己固有の権利としてとして
生命保険金請求権を取得します。
1のケース同様、生命保険金請求権は相続財産ではありません。
各相続人は生命保険を受け取っても相続放棄ができます。
3.生命保険契約により、保険金の受取人が被相続人自身となっているケース
このケースでは生命保険金請求権は相続財産になると考えられています。
このケースでは生命保険金の受領は相続財産の処分とみなされ、
保険金を受領してしまったら相続放棄ができません。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。