「相続させる」遺言のメリット

栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。

 

相続に関するやや細かい知識を書いていきます。

『「相続させる」遺言のメリット』に関してです。

 

「遺言には「相続させる」という文言を使うとよいケースがあります。

 

具体的にはどのようなケースでしょうか?

 

 

判例上、「相続させる」という遺言書の文言は

遺産分割の方法の指定と共に遺産分割の実行の指定を含むと

解釈されています。

そして遺産分割の実行の指定があった場合には、

別途遺産分割手続きは不要で、

相続開始時に直ちに指定された財産が

指定者に承継されると解釈されています。

よって、この場合、他の相続人の協力が得られなくても

単独で相続財産中の不動産の相続登記をすることができます。

 

また、農地の場合、「相続させる」としていけば

農業委員会の許可なくして所有権を取得できます。

 

ところが「遺贈する」とか「与える」とか書いた場合、

遺産分割の指定ではなく、遺贈であると解釈されます。

この場合、所有権移転登記をするためには

他の相続人や遺言執行者と共同で申請する必要があります。

農地の場合、さらに農業委員会の許可を得なければなりません。

 

単独で登記申請手続きができるか、

他人と共同で登記申請手続をしなければならないかは、

手続きに関する面倒さでは雲泥の差があります。

 

わざわざ遺言を使って特定の相続人に不動産を取得させる場合には

「相続させる」という文言にしておくことが鉄則です。

 

 

以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。

 

 

 

 

2018.05.10記

何となく将来離婚しそうな妻から、夫の遺言作成の依頼を受けたとき

「相続させる」旨の文言は避けるべきです。

離婚したら相続人でなくなるので、相続することができないからです。  

将来の離婚を見越して(?!)、「遺贈させる」と書くべきだと思います。

「相続させる」と書いてあっても遺贈としての効力は認められる云々の

はありますが・・

ただし、税務上の問題等はきちんとクリアすべきだと思います。

 

 

 

 

 

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