栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続問題に絡む「トラブル事例」と(もしあれば・・)その対処方法についてお伝えします。
今回は「子のいないご夫婦の遺産相続について」です。
「私たち夫婦には子がいないから遺言をする必要はない」
これは大いなる誤解です。
これは
「自分が亡くなったら全財産が配偶者に相続される」
と思い込んでいることから生じる誤解です。
夫が死亡して、妻が遺された場合を想定します。
夫の両親が健在であれば、妻が3分の2、
夫の両親が各6分の1が法定相続分となります。
妻が夫が遺してくれた自宅を自分の名義にしたり、
預貯金を解約したりするためには、
夫の両親と遺産分割協議をしなければなりません。
妻と夫の両親との折り合いがよくない場合や
夫の両親が離婚をしている場合、
夫の父母双方に遺産分割協議に参加してもらえるよう
依頼するのは妻にとっては苦痛以外の何物でもありません。
夫の両親の片方もしくは双方が認知症になっている場合には
家庭裁判所に成年後見人の選任手続を申し立てなければなりません。
夫の父母、祖父母が既に他界している場合、
相続人は妻と夫の兄弟姉妹です。
法定相続分は妻4分の3、夫の兄弟姉妹が4分の1です。
さきほどと同様、自宅の相続登記や預貯金の解約には
夫の兄弟姉妹全員との遺産分割協議が必要です。
兄弟姉妹の人数が多い場合には一苦労です。
いろいろな考え方の人もいるでしょうから
容易に合意を取り付けることができるかは未知数です。
兄弟姉妹のうち、夫より先に死亡している方がいる場合には、
おいやめいが相続人になります。
「私たち夫婦には子がいないから遺言をする必要がある」
法律的にはこっちが常識です。
子がいない夫婦はお互いがお互いに対して全財産を相続させる遺言
を作成しておくべきです。
ちなみに夫の父母、祖父母がすでに他界し、
妻と夫の兄弟姉妹が相続人である場合には、
兄弟姉妹には遺留分がありませんので、
妻に確定的に財産を相続させることができます。
2018.04.18記
このコメントを書く前に、偶然
このようなケースのご相談を受けていました。
遺言書もなく、夫のご兄弟との折り合いも悪く
正直打つ手はありませんでした。
残念です・・・。
でもこのようなケースは決して少なくありません。
このようなご相談を受けるたびに
何とも言えない気持ちになります。
「せっかく長いこと夫婦で頑張ってきたのに
最後の最後にこれか・・・」
ご相談者のこの言葉に尽きます。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。